「寝そべり」や「擺爛」といった言葉はSNSから消し去られる
第一に物流とデジタルプラットフォームという巨大ネットワーク。第二に農村の故郷を離れて都市で仕事を探す3億人民工が非正規ゆえに社会サービスへのアクセスを禁じられた中国の労働搾取システム。第三に極限まで進み、不条理が剥き出しになった末期的資本主義。
北京の宅配便事業者のスタッフ(写真:CFOTO/共同通信イメージズ)
ギグエコノミーの背後で労働者の不満や怒りを封じ込めようとする国家権力の冷徹な意思も働く。プラットフォーム経済の底辺でうごめく膨大なギグワーカーが連帯し、中国共産党の統治を脅かす組織的勢力へと変貌することを防ぐ徹底した戦略がとられている。
精神的汚染の排除という名の思想統制。インターネット環境を浄化する行動の一環として貧困や過酷な労働実態を強調する投稿は有害コンテンツとみなされる。「寝そべり」や「擺爛」といった言葉は検閲の網にかけられ、SNSから消し去られる。
待遇改善を求める配達員による小規模なストライキや抗議活動の動画は数秒以内に削除される。AI(人工知能)とアルゴリズムを用い、1つの地域の火種が全国的な連帯へと広がる回路は完全に断たれる。投稿者のアカウントは閉鎖され、デジタル空間における市民権を剥奪される。