米海軍横須賀基地を訪問し、原子力空母「ジョージ・ワシントン」で演説するトランプ米大統領と高市早苗首相=2025年10月28日、神奈川県横須賀市(写真:共同通信社)
新年早々の米軍によるベネズエラ急襲に始まり、イランの政情不安、グリーンランド問題と、世界は大きく揺れている。一方、国内では、高市首相が解散総選挙を決めた。内外の課題が山積する中での突然の選挙に対しては、与党内を含め、多くの不満が表明されている。世界と日本はどこに向かうのか。
戦後の国際秩序の終焉
アメリカが、国連憲章や国際法を無視して、貪欲なまでに自国の国益を守ろうとする姿勢は、第二次世界大戦後にアメリカが主導して構築した世界秩序を崩壊させている。アメリカの寛大な経済援助、世界の警察官としての安全の確保、基軸通貨ドルを中心とする国際金融システムなどが、廃墟と化した世界を復興させた。そのような公共財を提供することは、「ただ乗り(free ride)」を許すことであり、それができなくなったということは、アメリカの力の衰退に他ならない。
グリーンランドはデンマーク領である。トランプ大統領は、それを、軍事力を行使してでも獲得する意欲を示している。
ベネズエラ攻撃には、石油利権は別にしても、独裁と戦い、民主主義を守るという大義名分があった。しかし、グリーンランドの場合、それはない。
地球温暖化によって北極海の氷が溶け、航行が可能になったことが、グリーンランドの戦略的意味を大きく変えた。中国やロシアが触手を伸ばしているので、その前にアメリカが入手するという。
当然のことながら、グリーンランドやデンマークは、「売り物ではない」と言って、猛反発している。デンマーク軍も臨戦態勢に入っている。デンマークのフレデリクセン首相は、アメリカが軍事侵攻すれば、「NATOは終わる」と言っているが、その通りである。
主権国家を侵略することは、国際法で禁じられている。しかし、トランプは、「自分の心の命ずるままに動く、国際法は関係ない」と豪語している。
アメリカは、過去にも、1989年12月~1990年1月にパナマに侵攻し、ノリエガ将軍を拘束した。2003年3月にはイラク戦争を起こし、2003年12月にサダム・フセインを拘束した。しかし、イラクに大量破壊兵器が貯蔵されているという開戦の口実は嘘だった。
