次の政府介入は地区連銀総裁人事か
次期議長候補の発表は近づいている。最右翼候補と言われるハセット氏はベッセント米財務長官が口にする地区連銀総裁人事への介入方針などに賛意を示しており、やはり指名発表時にはドル安・金利上昇を誘発しやすい。
昨年12月、ベッセント財務長官は「将来の地区連銀総裁候補者に対し、就任前に少なくとも3年間はその地区に居住していることを義務付ける新たな規則を推進する」と述べ、その直後にハセット氏が支持を表明したことも報じられた。一部の地区連銀総裁(ニューヨーク連銀出身者などが他地区総裁になるケース)などを念頭に「地区を代表していない」との基本認識がある。
地区連銀総裁は各地区連銀の理事会(民間)で選出され、ワシントンのFRB理事会が承認する形式がとられている。つまり、大統領や議会が直接介入できない独立した存在が地区連銀総裁である。しかし、上述の居住要件などを盾にワシントンが人事案に拒否を重ねれば、意中の人物に漕ぎつけられる目も出てくる。
この点が市場に注目された場合、大事に至る可能性はある。トランプ色の強いFRB新体制への移行が視野に入っているにもかかわらず、足もとでさほど米金利低下とドル安が進んでいないのは、トランプ派議長と理事を合わせた勢力だけでは多数決による政策判断を支配できないという前提があるためだろう。
しかし、今回のパウエル訴追や次の展開として懸念される地区連銀総裁人事への介入まで考慮すると、こうした前提は崩れる。結果、一時的には大幅なドル安・米金利低下に至る恐れが出てくる。
筆者は2026年後半以降の円安再起動をそもそも見込んでいたが、これはFRB新体制下での政策運営が案外、タカ派に傾斜することで当初期待との乖離が発生することを考慮している。ただ、ベッセント財務長官とハセット次期議長が政治の中銀介入に心を砕くようであれば、この展開は実現しない可能性も出てくる。
実際、ドル相場は昨年4月以降の急落から値を戻せていない。また、米金利を見ても、2024年9月以降、計6回(計▲175bp、※最初の1回は▲50bp)の利下げが行われているにもかかわらず、現在の米国債利回りは当時よりも高い(図表)。今のFRBが市中金利を完全には制御できなくなっているという疑義はある。
