パウエル訴追の狙いは理事職からの追放

 訴追の狙いはパウエル議長の理事職からの追放という見方がもっぱらだ。

 周知の通り、パウエル議長の議長職としての任期は2026年5月15日までだが、理事職としての任期は2028年1月31日まで残っている。慣例に従えば議長職と共に理事職も辞職するはずだが、パウエル議長が理事として残留すれば、第一次・第二次トランプ政権中に指名した理事(含む正副議長)は7名中3名(新議長、ウォラー理事、ボウマン理事)にとどまり、それ以外の4名(パウエル理事、ジェファーソン理事、バー理事、クック理事)に対し劣勢になる。

 逆に、パウエル議長が理事職も辞任すれば、新議長と新理事の2名を新たにトランプ政権が指名できるため勢力は逆転する。

 最終的な展開はまだ分からないものの、「中央銀行の独立性」に対する侵食を止めようとしないトランプ大統領に反意を抱くパウエル議長は理事残留を選び、ハト派路線の阻止に尽力するとの期待は根強い。

 昨年8月に任期途中で辞任したクーグラー元理事の任期は1月31日で切れるため、2月1日から始まる「新しい14年間の任期」の枠に対して、トランプ大統領が誰を指名するかが目下の注目点となる。

 パウエル議長が理事として残留することを前提にすれば、この2月1日以降の理事ポストを次期議長候補含みで指名し、今後スライドという話になる。「理事として残留しそうなパウエル議長が邪魔」という思惑が働いた可能性は想像に難くない。

 ただ、刑事訴追(起訴)されたとしても法的に辞任する義務はなく、「推定無罪」が適用される。パウエル議長本人が自主的に辞めない限り、裁判で有罪が確定するまではその地位に留まることが可能になる。ラフに言えばトランプ政権による「嫌がらせ」と受け止められても致し方あるまい。