必然の帰結としての解散総選挙
中国の輸出規制に加え、日銀の利上げ頓挫も相まって円安が放置されたとすれば、インフレ圧力は確実に再燃する。
2025年を振り返れば、前年比で円安が加速するという時間帯が辛うじてなかったため、円安インフレは争点化しなかった。
下の図表の円建て輸入物価指数を見ても分かるように、前年比でプラス圏に至るような事態にはなっていない。これは2025年上半期が円高地合いにあり、おおむね155円をトップとして下落傾向にあったためだ。
裏を返せば現行の155~160円レンジが放置されれば、やはりインフレ圧力は輸入されやすくなる。事業法人における為替ヘッジの有効期間を割り引いても、年後半には値上げ圧力に抗しきれなくなる可能性がある。
かねて議論している欧米金利の再浮上というリスクも踏まえれば、この展開は懸念すべきだろう。

以上を総括すると、座してインフレ圧力を受け入れるのか、それとも謝罪と発言の撤回で支持率の低下をある程度受け入れるのかといった状況になる。いずれにせよ政権にとっては厳しい選択だ。
こうした中、高市政権が現状を乗り越えるための唯一の道として「国民の生活苦が露わになる前に解散総選挙に打って出る」という判断に至るのは理解できる。現時点では確報ではないが、1月でなくとも7月や秋のタイミングは十分考えられた話である。
経済的苦境が本格化して国民が疲弊しきる前に、「中国の脅威」を争点に解散を打ち、勝利することで求心力を固める……。そのような算段は論理的だ。一度、総選挙を乗り切れば当面の求心力は維持できるというのは政治的にはよく持ち出される発想だ。
こうした発想は選挙戦略としては正しいが、高市政権の延命には寄与しても、日本経済を取り巻く環境は何も変わらない。「現状改善の手立てはないが、政権延命には総選挙が有効」といった構図である。
今や5年目の社会課題となった円安を抑止するためにはまず、連続的な利上げができる環境を政治的に確保してあげることくらいだろう(それとて円安終息の必要条件であって十分条件ではないが)。この点に照らせば、高市政権の外交政策と、その結果は厳しい評価にならざるを得ない。