北朝鮮による兵器増産と兵器実験の特異性

 北朝鮮は2025年の年末から2026年の初めにかけて、兵器廠に大量の兵器を保管、またミサイル実験の写真を公表した。

 これらの兵器の共通点は、それらのほとんどの兵器がロシアが開発した兵器に酷似しており、また、ウクライナ戦争で使っている兵器と同じものである。具体的には以下のとおり。

①2025年12月25日 新型防空ミサイルの実験
②2025年12月26日 大量の短距離弾道ミサイルKN-23工場配置
③2025年12月29日 長距離巡航ミサイルの実験
④2025年12月30日 大量の600ミリロケット砲の工場配置
⑤2026年1月4日 極超音速兵器システム(実体は不明)の実験
⑥2026年1月3日 大量の徘徊型無人機(北朝鮮は戦術誘導兵器と呼称)の工場配置
 
 次に、それぞれの兵器についての特異点、ウクライナ戦争で使用される可能性について考察する。

短距離弾道ミサイルの大量生産と性能向上

 北朝鮮は2025年12月26日、完成間近の短距離弾道ミサイルKN-23とみられる兵器を大量に兵器廠に配置している写真を公表した。

 この兵器はもともとロシアがイスカンデルMとして開発したものだ。北朝鮮は酷似したものを製造し、KN-23と称している。

写真1 大量に製造・保管されているKN-23(イスカンデルM)ミサイル

出典:朝鮮中央通信(北朝鮮兵器の写真は以下同じ)

 このミサイルを北朝鮮がロシアに供与しているという情報が、ウクライナ参謀部から発信されている。

 特に、北朝鮮製を裏付ける部品も大量に発見されている。北朝鮮空軍は、このミサイルがウクライナに着弾した際には当初、ロシア名のイスカンデルMミサイルと呼称していた。

 しかし、最近ではイスカンデルM/KN-23と呼称変更している。そのことからみても、北朝鮮がこのミサイルを大量にロシアに供与しているのは疑いようのない事実だろう。

 ロシアのミサイル発射数は、2025年1~3月の期間が平均100発であり、これまでで最低数であった。

 一方、4~8月の期間が平均150発、9~12月までの平均が200発である。このように月平均で100発にまで減少していたミサイル発射数は、昨年4月から緩やかに増加している。(グラフ1参照)。

グラフ1 緩やかな増加傾向にあるロシアのミサイル発射数

出典:ウクライナ空軍による日々発表資料を筆者がグラフにしたもの

 この増加の背景にあるのは、北朝鮮が大量に短距離弾道ミサイルを製造し保管している写真と関係がありそうだ。

 つまり、北朝鮮の生産量が徐々に増加し、ロシアに供与されている可能性があるのだ。

 北朝鮮は2026年1月4日、「極超音速ミサイル」と称する短距離弾道ミサイルを発射し、1000キロ(日本の防衛省は約900~950キロと発表)飛翔したという。

 韓国軍当局者によると、このミサイルはイスカンデルMミサイルに極超音速架空体形状の弾頭を装着したミサイルで「火星11マ」と分析しているが、極超音速の機能は十分に備わってはいないとみている。

 性能では極超音速には至っていないとみられるものの、ミサイルの性能向上に努力していることは事実だろう。

 ロシアは現在、北朝鮮からイスカンデルMミサイルの継続的な供給を求めている。

 さらに近い将来、性能を向上させた「火星11マ」と称するミサイルを求めてくる可能性は十分にある。

 北朝鮮は2025年12月28日、長射程の戦略巡航ミサイル(北朝鮮呼称)を発射し、そのミサイルは約2.8時間飛行した。

 これは、実験ではなく、信頼性確認のための訓練射撃だという。

 ロシアは、弾道ミサイルと同様に巡航ミサイルも大量に必要であり、すでに北朝鮮から巡航ミサイルも供給されている可能性は高い。