カラカス停電にサイバー攻撃が果たした役割
前述のように、米軍によるマドゥロ大統領拘束作戦が決行されたその瞬間、カラカスで大規模な停電が発生している。当初、老朽化したインフラによる偶発的な事故との見方もあったが、その後の米政府高官の発言や専門家の解析により、これが米軍の高度なサイバー能力による「意図的なブラックアウト」であったことが明らかになりつつある。
インターネットの動きを世界規模で監視している団体NetBlocksから示されたデータは、停電発生直後、カラカスおよび周辺地域での電力供給とインターネット接続が、米軍特殊部隊の突入とほぼ同時に遮断されたことを示していた。
決定的な証拠となったのは、作戦成功後のドナルド・トランプ大統領の記者会見である。大統領は、作戦時のカラカスの状況について「真っ暗だった」と述べた上で、その理由を次のように語った。「カラカスの明かりは、我々が持つ『ある種の専門技術(certain expertise)』によって大部分が消されていたのだ」。
この発言は、物理的な爆撃による発電所の破壊ではなく、非物理的な手段(サイバー攻撃や電子戦)が用いられたことを示唆すると受け取られている。
さらに、米軍制服組トップのダン・ケイン統合参謀本部議長も、作戦には米サイバー軍が深く関与し、「さまざまな(作戦行動によって達成された)効果を層状に重ねる(layering different effects)」ことで部隊の安全を確保したと証言している。この発言は、カラカスの停電が偶発事象ではなく、綿密に計画された軍事作戦の一環であった可能性を示すものだ。
では具体的に、どのような技術を用いて大都市の電力網を無力化したのか。サイバーセキュリティの専門家による分析は、この停電が物理的な攻撃だけでなく、高度なサイバー攻撃によって引き起こされた可能性が高いことを指摘している。
特に英国のセキュリティ企業e2e-assureのCEOであるロブ・ドゥメインは、この作戦を「サイバー、宇宙、および通常戦力を組み合わせたマルチドメイン(多領域)作戦」の最終形態であると評価している。
彼の分析によれば、送電網へのサイバー攻撃が数カ月前から準備されていたという。