おわりに
ウクライナの悲壮な決意が聞こえてくる。
「勝利とはロシア帝国の崩壊であり、敗北とはウクライナの崩壊による完全な占領である。それ以外のすべては、戦争の継続に過過ぎない」
ウクライナ一国で、ロシア帝国に勝つことは「困難」である。
古来より、国家は合従連衡して自国の生き残りを図ってきた。ウクライナに信頼できる同盟国がいないことは残念である。
他方、日本に日米同盟があることは幸いである。
ところで、一時、トランプ米大統領の登場で、「力による平和」への期待が大きくなった。「力による平和」でロシアとウクライナとの間で停戦・和平合意ができれば、それに越したことはない。
しかし、中立、公正であるべき仲介者の立場を忘れ、ロシア寄りの言動を繰り返すトランプ大統領をあてにすることはできない。
他方、ウクライナ全土を手に入れるチャンスを辛抱強く待っているプーチン大統領は、トランプ大統領の圧力にも屈せず、ただただ軍事作戦の目標達成を目指すであろう。
ゆえに、外交交渉による停戦・和平合意の可能性はほとんどないと筆者はみている。
したがって、ウクライナがロシアに勝利するには、長距離ドローンと長射程ミサイルで石油施設や鉄道等のインフラ施設を攻撃し、ロシア国民の政府への不満を煽り、プーチン大統領が最も恐れる反政府デモにつなげることである。
さらに、これらの軍事行動に併せて、「明石謀略」を模倣し、以下の謀略活動を実行するのである。
明石謀略については、拙稿「ウクライナがロシアに勝利するには、日露戦争で日本が用いた『明石謀略』の模倣が不可欠」(2025.5.28)を参照されたい。
すなわち、戦いにも表と裏がある。
ウクライナ軍は、表では前線でロシア軍を破るために死力を尽くすと同時に裏では、ウクライナがロシア領に潜入させた工作員による破壊活動、ロシア市民のレジスタンス運動、プーチン政権打倒を掲げるロシア人武装組織「自由ロシア軍団」や「ロシア義勇軍団」、「シベリア大隊」による越境攻撃などを組み合わせた後方攪乱工作で、ロシア社会に混乱と動揺を引き起こし、プーチン政権の打倒を目指すべきであると筆者は考える。