ベネズエラでクーデターが起きる可能性
ベネズエラの原油埋蔵量は多いと言われているが、石油インフラの状況は悲惨だ。
原油増産に向けた様々なシナリオが提示されているが、短期的には日量50万バレル程度の増産が現実的だ。
危惧されていたベネズエラの政情不安は当面、回避される見通しだ。
ロドリゲス暫定大統領(写真:ロイター/アフロ)
暫定大統領に就任したロドリゲス副大統領が米国に融和的姿勢を示す一方、米国側もロドリゲス氏を支持する構えをみせており、米国がイラク戦争の二の舞となる可能性は低くなった。
だが、楽観を許さない状況が続くだろう。
ライト・エネルギー長官が7日、「ベネズエラ産原油の取引と収入を管理する必要がある」と述べたように、トランプ政権がベネズエラ暫定政府に対して、威圧的な態度で臨むことが現実味を帯びているからだ。
文民出身のロドリゲス氏に対して、軍人出身の内務・法務相や国防相の不満が高まる事態となれば、ベネズエラでクーデターが起きる可能性は排除できなくなる。
ベネズエラの「政変」は世界の原油市場にも影響を与える。
OPECプラス(OPECとロシアなどの大産油国が構成メンバー)は4日、3月までの原油生産量を据え置く方針を確認した。今回の会合でベネズエラ問題は議論されなかったが、OPECプラスにとって今後の重要な課題となるのは確実だ。
OPECプラスの有志8カ国(サウジアラビアやロシア、アラブ首長国連邦=UAEなど)は昨年、市場シェアを回復するため、日量約290万バレルの増産を実施した。
世界の原油市場が昨年以上に供給過剰となることが予測される中、ベネズエラ産原油の供給が増加すれば、原油価格に大きな下押し圧力がかかる。
インドのシンクタンクSBIリサーチは5日「原油価格は今年半ばまでに1バレル=50ドル割れする可能性がある」との見通しを示しており、OPECプラスが減産に舵を切るのは時間の問題なのかもしれない。
原油安は日本にとって望ましいが、油断は禁物だ。
ベネズエラの地政学リスクの陰に隠れて材料視されていないが、イランの地政学リスクは昨年末から急速に高まっているからだ。