イランで大規模抗議デモ、政変が起きるリスクも
イラン政府は7日、米や肉などの食料の価格高騰を補填するため、月額7ドル相当の補助金を支給し始めた。背景には昨年12月28日から続く市民の抗議活動がある。
だが、政府の施しは「焼け石に水」であり、事態収束に無力だと言わざるを得ない。
昨年6月のイスラエル・米国との間の「12日間戦争」の敗北も政権の威光を大きく傷つけた。BBCは6日「イラン政府はここ数年で弱体化しており、抗議デモなどが体制を揺るがすかもしれない」と報じている。
最高指導者ハメネイ師(86歳)の去就も取り沙汰されているほどだ。英タイムズは4日「ハメネイ師は軍の離脱を恐れてロシアへの亡命を計画している」と報じた。
「イランで政変が起きる」と断言するつもりはないが、国内の混乱で日量約350万バレルのイランの原油生産量が大幅に減少するリスクが浮上している。
日本の原油供給の9割を占める中東情勢について、引き続き高い関心を持って注視すべきだ。
藤 和彦(ふじ・かずひこ)経済産業研究所コンサルティング・フェロー
1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。