欧米関係が“政冷経冷”に移行する日
そもそも欧州委員会は、デリスキングというコンセプトの下、実質的には保護主義的な産業政策を推進することを好む。そうした過剰規制がEUの国際競争力の低下を招いたわけだが、それでも欧州委員会は産業の統制を模索する。
米国が信用ならざる存在だという認識が確固たるものとなれば、EUはさらに米国に対して閉鎖的になる。つまり“政冷経熱”から“政冷経冷”に移行する。こうなれば両者の関係の改善は、ますます見込み難くなる。欧米を中心としてきた世界秩序は大きく揺らぎ、ただでさえ不安定なグローバル経済をさらに不安定にさせるだろう。
日本にとっても、今般の欧米関係の緊張は対岸の火事とは言えない。日本もいつ、米国の“ドンロー主義外交”の余波を受けるか、定かではない。少なくともトランプ政権が続く限り、これまでの日米関係に立脚した慣習や期待は通用しないだろう。2026年の年明け早々、グローバル経済は極めて強い不透明性に包まれることになった。
※寄稿は個人的見解であり、所属組織とは無関係です
【土田陽介(つちだ・ようすけ)】
三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)調査部主任研究員。欧州やその周辺の諸国の政治・経済・金融分析を専門とする。2005年一橋大経卒、06年同大学経済学研究科修了の後、(株)浜銀総合研究所を経て現在に至る。著書に『ドル化とは何か』(ちくま新書)、『基軸通貨: ドルと円のゆくえを問いなおす』(筑摩選書)がある。