自転車の交通違反、検挙数は5年で倍増

 近年の日本では、電動アシスト自転車などの登場で自転車の性能が向上し、自転車の活用場面も拡大しています。一方、速度の出るようになった自転車に対し、危険を感じる人も増えてきました。車道と歩道を猛スピードで自在に走る自転車、前と後ろに子どもを乗せて自動車や歩行者の脇を疾走していく父母たち……。「危ない!」と思った経験者も多いはずです。

 状況は、警察庁の統計が物語っています。

 交通事故件数の総数が減少傾向にある中、自転車関連事故は年間7万件前後と横ばいで推移しています。しかし、全交通事故に占める自転車関連事故の割合は増加が続いています。また、自転車に乗っていた人の死亡・重傷事故のうち、4分の3には自転車側にも法令違反があったことが分かっています。自転車の交通違反の検挙件数も急増。2024年は5万1000件を超え、5年間で倍増しました。

 こうした事態を少しでも抑制しようと、道路交通法の改正が度々行われてきました。その象徴は2024年11月施行の改正でしょう。

 このときは「ながらスマホ」の刑事罰がそれまでの「5万円以下の罰金」から「1年以下の拘禁刑、または10万円以下の罰金」に引き上げられました。自転車の酒気帯び運転には「3年以下の拘禁刑、または50万円以下の罰金」という刑罰を新設。さらに、「傘差し運転」「イヤホンやヘッドホンを付けての運転」などには5万円以下の罰金、「並走運転」にも2万円以下の罰金などが科せられる仕組みとなったのです。

 自転車への青切符は、こうした多発する違反を簡便な手続きで処理するためですが、いくら青切符の制度が導入されても、違反自転車が重大事故を起こした場合、あるいは飲酒運転や酒気帯び運転など悪質の度合いが大きい場合は、青切符ではなく、通常の刑事事件の手続き(赤切符)で処理されることになります。

 2022年の統計では、自転車を運転中の事故による死亡・重傷者は、年間で6659人に達しています。「自転車だからいいだろう」「これくらい見逃せよ」などと思っている場合ではありません。自分自身が悲惨な事故の当事者にならないためにも、考えておくべきことは山のようにありそうです。

フロントラインプレス
「誰も知らない世界を 誰もが知る世界に」を掲げる取材記者グループ(代表=高田昌幸・東京都市大学メディア情報学部教授)。2019年に合同会社を設立し、正式に発足。調査報道や手触り感のあるルポを軸に、新しいかたちでニュースを世に送り出す。取材記者や写真家、研究者ら約30人が参加。調査報道については主に「スローニュース」で、ルポや深掘り記事は主に「Yahoo!ニュース オリジナル特集」で発表。その他、東洋経済オンラインなど国内主要メディアでも記事を発表している。