掛け算を期待するなら黒田は2区

 今季の青学大は出雲(7位)と全日本(3位)は優勝争いに絡むことなくレースを終えた。黒田が終盤区間(出雲6区、全日本7区で区間賞)に入ったことで、他の選手のポテンシャルをうまく引き出すことができなかったのが敗因だ。

 一方、青学大は直近11年間の箱根駅伝で8度の総合優勝を誇る。その圧倒的な強さの秘密は駅伝を“足し算”ではなく、“掛け算”にしてきたことにある。

 12月10日の『トークバトル』で原監督は前回大会をこう振り返っている。

「1区で遅れると、掛け算になってこないんですよ。前回は駒大がライバルと踏んでいましたので、2区へのタスキ渡しで駒大との差(12秒遅れ)を見て、『勝ったな』と思ったんです。前回は宇田川瞬矢に故障があって、10区間で唯一の不安が1区でした。他大学が中大についていく展開だったら本学は勝っていなかったかもしれません」

 5区の距離が短縮した2017年以降、青学大は6度の総合優勝。そのうち半数が3区でトップに立って、逃げ切っている。その勝ち方がまさに“掛け算”の駅伝だった。

 2区までに流れを作り、3区でライバル校の指揮官たちの度肝を抜く走りを披露。特に強烈だったのが、2016年の秋山雄飛、2022年と2024年の太田蒼生だ。

 黒田は前々回、1時間6分07秒の区間賞で9位から2位に。前回は1時間5分44秒の区間新で10位から3位に順位を押し上げている。黒田を2区に配置すれば、ライバル校からアドバンテージを奪って、イケイケの雰囲気を作ることができるだろう。

 前回は“山”を完勝した青学大だが、今回は5区と6区に1年生(石川浩輝、上野山拳士朗、松田祐真)を起用する可能性を原監督は示唆している。山に未知数な部分があるだけに、その前にライバル校を引き離しておきたい。

 青学大は今大会も2区黒田で勢いをつけて、3区と4区でライバル校の想定を上回る快走を見せるのが、勝利のセオリーになるだろう。ポイントとなる3区は10000m27分台の折田壮太(2年)らスピードが魅力の選手に託されるのではないだろうか。