より多くの支出を強いられる一方、稼ぐ力は大幅に低下
ロシアの軍事支出は21~24年に年5.9兆ルーブルから16.2兆ルーブルに3倍に増え、連邦予算の支出に占める割合は24%から40%にハネ上がった。輸出額は年5497億ドルから4753億ドルに13.5%減少した。より多くの支出を強いられる一方、稼ぐ力は大幅に低下した。
膨大な資源が戦場での武器・軍備・弾薬といった非生産的な「前線の消費」に注ぎ込まれる。兵士たちは社会的に有益な労働に従事することなく、多額の収入を得ている。プーチン氏の軍事経済は人口の8割を占める民生部門の犠牲の上に成り立っている。
プーチン大統領(写真:Sputnik/共同通信イメージズ)
戦争の受益者となっている比較的少数のロシア人の所得は急増。契約兵士、軍需工場の労働者とその家族が含まれ、ロシア人口の2割に達する。彼らの名目所得は3〜7倍に増え、インフレ率を大幅に上回る。しかしそれ以外の実質所得は16〜42%減少した。
年金生活者、ソーシャルワーカー、教育・医療専門職が割りを食っている。軍事支出は戦争で必要とされる物品や装備の生産に関わる多くの部門の生産を刺激した。しかし軍事支出による財政刺激効果はロシア経済全体の輸入依存度の高さによって相殺されている。