通話記録流出事案から得られる教訓
元米中央情報局(CIA)および国家安全保障局(NSA)の契約職員で、NSAによる大規模な個人情報収集活動の存在を暴露したエドワード・スノーデンは、スマートフォンがマルウエアに感染した場合、デバイスが完全に制御され、ユーザーの行動がすべて監視されると述べた。
そして、スノーデンは、スマートフォンは「ポケットの中のスパイよりも危険である(Your Smartphone Is Worse Than A Spy in Your Pocket)」と警告している。
今回の流出事案から得られる教訓は次の2つである。
①教訓1:公務に私用携帯電話(スマートフォン)を使用しない。
ウシャコフ氏はWhatsAppの脆弱性が是正されていない私用の携帯電話(スマートフォン)を使用していたとみられる。
現在、日本でも要人には公務用携帯電話(スマートフォンを含む)が支給されていると思う。
しかし、かつて米ヒラリー・クリントン国務長官の私用メール問題が発生したように、誰しも保全よりも利便性を優先しがちである。
②教訓2:防諜意識の高揚。
昔から「壁に耳あり障子に目あり」という諺があるが、我々は常に「公開の場における不用意な会話」に注意しなければならない。秘密とは「秘」と標記され金庫に保管されたものだけでない。
ゾルゲ事件で有名なリヒャルト・ゾルゲは、在日ドイツ大使とゾルゲ諜報グループの成員であった尾崎秀美両名から御前会議の決議事項に関する情報を得ていた。
尾崎は近衛文麿首相の側近の西園寺公一から聞き出していた。
スパイ活動は、文書を金庫の中から盗み出すことだけではない。多くの秘密情報は会話の中から漏れるのである。