罰則の強化も盛り込まれる予定

 私自身、まさか個人情報という領域がこれほど社会的な争点になるとは想像していませんでした。

 AIには膨大なデータが必要ですが、それを無制限に許容すれば、将来世代にどんな影響を与えるのか予測が難しいでしょう。

 一方で企業の競争力を高めなければ、日本経済は世界のAI競争から取り残されます。

 これは経営者にとっても国家にとっても、痛みを伴うジレンマです。

 今回の法改正案で特徴的なのは、罰則の強化が同時に盛り込まれている点ではないでしょうか。

 悪質な違反に対して課徴金制度を新設するという内容は、企業側へのプレッシャーとして機能します。

 データを自由に使いやすくする代わりに、利用する側に強い責任を課すという構図は、欧州型規制の考え方に近いとも言えます。

 AI開発を促進しながらも、データの扱いに粗雑さが出ないようにブレーキをかける仕組みです。

 日本はどうしても規制緩和だけ進めると社会的な反発を招くため、このバランス設計は現実的だと感じています。

 さらに今回の改正案では、学術研究の例外条項の拡張も含まれました。