過半が複数回の被害を訴える
政治家の約4人に1人が日常的に脅迫や嫌がらせを受けているとするスウェーデンでは、特にSNSやメールなど「デジタル空間」での攻撃が常態化している。憎悪を露わにするメッセージが日常的に届き、家族への脅迫やストーカー的行為も報告されている。
政治家に対する脅迫や嫌がらせについてまとめた、先述のスウェーデン犯罪防止評議会の報告書の要点をあらためてみてみよう。
1. 議員の25.4%が、2024年中に何らかの脅迫や嫌がらせ、暴力、破壊行為、窃盗の被害を受けている。
2. 男性よりも女性が被害に遭う割合が高い。2024年に少なくとも1回は被害に遭ったとしているのは女性議員の27%、男性議員の24%。
3. 連続して被害に遭うケースが多い。被害を申告した議員のうち、1回のみは15.2%なのに対し、54.2%が2回から5回、30.7%が6回以上だという。
4. 若い議員のほうが被害に遭う割合が高い。年齢別でみると30歳から39歳は35.9%、最高齢層(70歳以上)では13.6%。
5. 最も多く発生しているのは、インターネット上での脅迫や嫌がらせ。ソーシャルメディアを介した脅迫や攻撃が最も多く、2番目に多かったものは、オンライン上で個人的な情報が公に暴露されるケース。
6. 被害は、議員のインターネットやソーシャルメディアでの露出度に大きく関連している。2024年にメディアで非常に多く取り上げられた議員の82.8%が被害を受けている。一方、メディアでほとんど取り上げられなかった議員では7.8%。
7. 被害者が「非常に恐ろしい」と認識したケースは5.5%、「かなり恐ろしい」と認識したものは25.4%で、合わせて約3分の1が恐怖を感じている。「全く恐ろしくない」としたのは16.0%。
8. 事件の約半数において、被害者は加害者が何らかのグループまたは運動に属していることがわかっている。最も一般的な加害者グループは極右または人種差別主義運動。
どうだろうか? 日本でもネットやSNSでの誹謗中傷はもちろん、より深刻な事態につながりかねない動きもあると聞く。民主主義にとって脅威が増すばかりだ。