スウェーデン犯罪防止評議会が11月6日に発表した報告書によると、昨年1年間で、政治家の4人に1人(約25%)が、脅迫、嫌がらせ、暴力、器物損壊、窃盗といった何らかの被害に遭っている。

「常に後ろを振り返って、安全を確認しなければならない」

 同評議会が実施したアンケート調査では、被害を受けた議員のほぼ半数(47%)が、その経験によって「辞職した、または辞職を考えた」と回答している。また、女性の政治家の方が男性よりも被害を受ける割合が高く、職を辞める傾向も女性の方が強いことが示されている。

参考)「政治家の安全保障調査2025」(スウェーデン犯罪防止評議会)

 社会民主党・女性連盟委員長アニカ・ストランドヘール氏は、テレビのニュース番組で「公の場では常に後ろを振り返って、安全を確認しなければならない」「政治活動を行う議員にとって、嫌がらせや脅迫はもはや日常の一部だ」と話し、さらに嫌がらせの性質がより個人的で執拗なものに変わってきていると指摘している。

 また、同じ番組で中道右派の穏健党議員ハニフ・バリ氏は、「私の最大の不安は、ネット上に悪口を書かれることではなく、誰かに自宅の住所を見つけられ、外壁を銃撃されることだ」と語り、その深刻な恐怖を明かしている。

 日本では安倍晋三元首相の銃撃事件(2022年7月)や、立花孝志氏が刃物で襲撃される事件(2025年3月)など、政治家が街頭演説など「公開の場」で物理的に襲撃される事件が起きている。

 スウェーデンでも、20年以上前だが、アンナ・リンド外相が、買い物中に刺殺された事件(2003年9月)、オロフ・パルメ首相の暗殺事件(1986年2月、未解決)が起きている。

 それが近年では、攻撃の舞台が、主にインターネット上に移ってきている。