2025年11月2日、全日本大学駅伝、3区を走る國學院大の野中恒亨 写真/SportsPressJP/アフロ
(スポーツライター:酒井 政人)
野中が國學院大記録を大幅に塗り替える27分36秒64
大盛況となった今年の八王子ロングディスタンス。好記録ラッシュに火をつけたのが全日本大学駅伝3区で区間賞を獲得した野中恒亨(國學院大3)だ。
野中は大学の先輩・平林清澄(ロジスティード)と緑のウェーブライトが28分00秒に設定された10000mの5組(C)に出場。先頭は5000mを13分59秒で通過すると、ふたりが前方へ上がっていく。ペースメーカーらとともに緑のウェーブライトのはるか前を突き進んだ。
8000mを22分15秒で通過して、ペースメーカーが離脱。平林が野中を引っ張るかたちでふたりが抜け出した。残り3周を前に野中が先頭に立ち、さらにペースを引き上げる。野中は日本人学生歴代6位となる27分36秒64をマーク。平林が保持していた國學院大記録(27分55秒15)を大幅に塗り替えた。2着の平林も27分37秒13の大幅ベストとなった。
「8000mから(1000mペースで)2分45秒、2分40秒に上げていければ、27分40秒ぐらい出るかなと思っていました。狙い通りのペースで行けたのは凄く良かったです。ただ青木瑠郁さん、上原琉翔さん、辻原輝が出場していたら、同じぐらい走れていたかなと思います」
今季の國學院大は出雲駅伝を連覇するも、全日本大学駅伝は4位に沈んだ。しかし、上尾ハーフマラソンで青木瑠郁(4年)が日本人学生歴代10位タイの1時間0分45秒で優勝。10000mで野中が好タイムを叩き出して、再び、勢いが出てきた印象だ。
「箱根駅伝はチームの総合優勝が目標です。そのために任された区間をしっかりやりたい。5区以外ならどこでもやろうと思っています。なかでも自分に合っているのは、突っ込んで粘るみたいな3区か7区。3区だったら60分フラットぐらいはいけるんじゃないかなというイメージはあります」
3区の日本人最高記録は青学大・太田蒼生(現・GMOインターネットグループ)が保持する59分47秒。國學院大の“エース”になりつつある野中が箱根駅伝でも快走を誓っていた。