身内も次々犠牲に

 戦況が悪化する中、ファトマの周りでも身近な人がイスラエル軍の攻撃の犠牲者となることが増えていく。

 最初に、祖母やおじ、姪や甥など13人の家族が亡くなった。爆撃に遭ったおばの頭だけが見つかったこともあった。親友が殺され、彼女の家族も重傷を負った。

亡くなったファトマの姪 ©Sepideh Farsi Reves d'Eau Productions
亡くなったファトマの甥 ©Sepideh Farsi Reves d'Eau Productions

 徐々に不吉な予兆が彼女に近づきつつあった。それに呼応して監督のファルシは、彼女の身を案じるようになる。とは言え、何もできないことに歯がゆい思いをしているファルシに対し、「寄り添ってくれるだけで十分」と言ってファトマは慰めた。

 ここから先はネタバレとなるので、ご注意いただきたい。映画の結末を、映画館で知りたい方は、ここで読むのをやめることをお勧めする。