極めて大きいアフリカの「再エネ潜在力」

 アフリカの再エネ潜在力は非常に大きいのに、世界のクリーンエネルギー投資の2%しか受けていない。依然として6億人が電力にアクセスできていない。グテーレス氏は「重要鉱物を開発のレバレッジとして活用すべきだ」と訴える。

 AI(人工知能)・データセンターがエネルギー・水・重要鉱物の需要を押し上げ、水資源などエコシステムに負荷をかけ、重要鉱物の争奪戦を激化させる。AIブームとデータセンター投資が移行鉱物への需要をさらに加速させる恐れがある。

 グテーレス氏は昨年9月、報告書「エネルギー転換への資源供給:公正と衡平に向けた重要エネルギー転換鉱物に関する指針原則」を公表。狙いは再エネの爆発的拡大で需要が急増する重要エネルギー転換鉱物を人権・環境・公正・開発と両立させることだ。

 クリーンエネルギー技術に使われる鉱物全体の需要は国際エネルギー機関(IEA)の持続可能開発シナリオでは2040年までに現在の約4倍に増えると見込まれている。その中核をなすのが銅・リチウム・ニッケル・コバルト・レアアースといった鉱物だ。

 IEAによれば、クリーンエネルギー技術向けの需要だけを見ても、リチウムは40年までに40倍超、グラファイトやコバルト、ニッケルも数倍〜20倍程度に増える。EVと蓄電用途に限れば、これらの鉱物需要は10〜30倍に膨らむと見積もられている。