対中関税・技術規制に対する反撃としての「レアアース輸出規制強化」
中国当局はレアアース企業を数社の大手国有企業に統合、許認可・生産割当制・環境規制を通じて「過当競争・違法採掘」を抑制しつつ価格をコントロールする。00年代から輸出クォータ・関税を通じて原材料の輸出を絞り、国内製造業を優遇している。
24〜25年にはレアアース磁石や特定の高付加価値製品にも輸出規制(ムチ)を拡大。敵対国への経済的圧力、外資企業を中国国内に誘致するアメとしても機能。海外投資と一帯一路を連動し、中国への優先供給、相手国へのインフラ・融資のパッケージで影響力を拡大している。
中国はレアアースなど重要鉱物を「武器化」してきた。10年には尖閣諸島の領有権を巡る争いで中国は日本向けレアアースの輸出停止を非公式に行った。レアアースを交渉カード化した初期の代表例だ。12~15年にはレアアースの輸出クォータを導入。
20年には輸出管理法を制定、国家安全保障・戦略物資を幅広く輸出規制できる法制度を整えた。23年には「レアアース抽出・分離技術を外国に輸出しない」と発表した。今年4月には米国の対中関税・技術規制への反撃として7種レアアースと製品への輸出規制を強化した。