日経平均株価が10月下旬に史上初の5万円台を突破した後、「AIバブル」崩壊への懸念から相場は不安定な展開が続いています。11月20日にはエヌビディア決算を好感し日経平均は大幅に反発しましたが、翌21日は再び急落。半導体・生成AI関連銘柄の警戒感は拭えません。
高市政権の経済政策には「アベノミクス」の再来を期待する声もありますが、現在は物価高や円安など、マクロ経済環境はアベノミクス当時とは大きく異なります。そうした状況の中、個人投資家はどのように資産運用に挑んだら良いのでしょうか。なかのアセットマネジメントの中野晴啓社長がファンドアナリスト篠田尚子氏と語り合いました。3回に分けてお届けします。
※対談の詳細はJBpressの公式YouTubeチャンネル「INNOCHAN」でご覧いただけます。収録日:2025年11月18日
インフレ政策の違和感、進む「円の独歩安」
中野晴啓・なかのアセットマネジメント社長(以下、敬称略):物価高対策として給付や補助金、ガソリン税の減免などが挙げられていますが、あくまで痛み止めに過ぎません。国民が望んでいるのは、インフレそのものを抑制する政策ではないでしょうか。
篠田尚子・ファンドアナリスト(以下、敬称略):アベノミクスの頃は物価がほとんど動かないデフレ環境下でした。その後、物価高に免疫がない中で、急激な円安が進行しました。高市政権下の「サナエノミクス」は、物価高や為替の状況に細かく対応していく必要があるでしょう。
中野:日本も輸入大国ですので、円安環境では食料や資源エネルギーなど輸入物価の上昇は避けられません。昨今のドル安局面でも円高には振れておらず、むしろ1ユーロ=180円まで進んでいる状況を見れば明らかなように、「円の独歩安」の様相です。
円安の弊害は国としても重要な問題として認識すべきですが、適正な為替水準について政府からは明確なコメントが出ていないように感じます。