国も力を入れるクマ対策

──中山間地では高齢化が進み、自力で対策を講じるのは難しいのではないでしょうか。

小池:環境省は「指定管理鳥獣対策事業交付金」などを通じて自治体の対策支援を拡充しています。これまで指定管理鳥獣はシカとイノシシのみでしたが、2024年にヒグマと四国を除くツキノワグマが追加されました。

 指定管理鳥獣対策事業交付金を用いて「ヒグマゾーニング管理ガイドライン」を作成するためのモデル事業も進行しています。そのため、今後は公共事業として緩衝帯を作ることも検討すべきです。

 環境省が2024年にまとめた、全国で急増するクマ出没・被害に対応するための総合対策の指針「クマ被害対策施策パッケージ」では、以下を3本柱としています。

●人里にクマを寄せない(環境を整える)
●危険な個体は確実に捕獲する(管理の強化)
●地域全体で監視・連携体制を整える(見える化と即応)

 2025年11月には改訂版が発表され、自衛隊OB・警察OBの協力要請、ライフル銃の使用体制強化など、緊急時の即応性を高める内容が盛り込まれました。さらに「春期捕獲の強化」「個体数の統一的な推計」など、科学的管理へのシフトが打ち出されています。

気になる今後の出没数は?

──2026年以降、クマの出没数はどのように推移すると予測されますか。

小池:ドングリが豊作であれば今年ほど多くはならないかもしれません。ただし、柿や栗の味を覚えた個体が増えているとすれば、ドングリの豊凶だけでは出没は予測できないでしょう。

 冬眠期に入れば出没は減りますが、人里の食べ物を覚えた個体は食べ物がある限りは冬眠を始めない可能性があります。