Gerd AltmannによるPixabayからの画像
「貴社に特別なAIを開発」の甘言に乗るな
経営者の方々には、少し耳の痛い話になるかもしれません。
いま日本企業がやりがちなパターンとして危ういのは、次のようなものです。
AIベンチャーやSIer(エスアイヤー=システムインテグレーター)から「御社専用の特化型AIを開発します」と言われて、大きな開発予算をつけてしまうこと。
それを数年かけて構築し、社内業務だけで使おうとすること。
もちろん、すべてが悪いとは言いません。ただ、そのベンチャーやSlerがインフラにもアプリにもなっていない「中間」の労働集約型ビジネスをしている場合、長期的なリターンが極めて薄くなる危険が高いのです。
本当に筋が良いAIベンチャーであれば、すでに米OpenAIやグーグルと深く組んでインフラ側の研究開発に関わっているか、あるいは世界市場に向けたAIアプリケーションを生み出そうとしているはずではないでしょうか。
そうした動きが見えない企業が「御社専用AIを作ります」と言ってくる場合、その多くは将来のメンテナンス負債を黙って売りつけているだけかもしれません。
私の結論はシンプルです。汎用のAIサービスで代替できるところは、徹底的にそれを使う。
どうしても代替できないのであれば、それは自社だけのニーズだと決めつける前に、「世界中の企業にも共通する課題ではないか」と自問する。
共通する課題であれば、それを自社専用に作るのではなく、世界市場向けのAIアプリとして開発することを真剣に検討するということです。
この発想転換ができる企業だけが、AI時代において「自前主義の罠」から抜け出せると思います。