「元県議の死」「立花逮捕」から目を逸らし続ける斎藤知事
兵庫県では、ネット上の誹謗中傷や差別を防止する条例の制定が進む。12月県議会に提案、可決されれば来年1月から施行される。今夏に条例案を公表し、パブリックコメントを募集したところ、県民の関心は高く、100件を超すコメントがあったという。
ただ、丸尾が言うような行政による投稿の削除要請は、表現の自由との関係で難しく、対象は主に人種や地域といった集団に対する差別投稿のみに限定される。個人への誹謗中傷は、これまで通り、被害当事者個人での対応が基本になる。パブコメでは、この点で不十分だとする意見が多かったという。これも、デマと誹謗中傷が飛び交った知事選が残した影響の一つだろう。
知事の斎藤は、立花逮捕と彼のSNSや動画投稿について何度も問われているが、「個人の投稿をすべて把握できない」「(立花の投稿は)見ていない」「行政の長なので個別の方や投稿にコメントしない」と言及を避け続けている。竹内が亡くなった直後の囲み取材と何ら変わらない。
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立花氏逮捕について囲み取材を受ける斎藤知事=兵庫県庁
斎藤は、自身が望むと望まざると、立花に応援された2馬力選挙の一方の当事者である。仮にそうでなくても、行政の長であれば、知事選をめぐって起きた問題、元県議が自死へと追い込まれた事件について、何らかの見解を示すべきだろう。
「立花氏の投稿や言動を把握せずに、2馬力選挙やSNS対策を求める全国知事会の意見書に同意したのか」
「県内で起きた重大な事態から目を逸らし、見ていない、承知していない、コメントしないというのは行政の長として責任放棄ではないか」
囲み取材で私はあらためて問うたが、斎藤は「答えは同じになります」と言い残し、去って行った。再選から1年を経ても何も語らない、というより、語れないほど深い傷痕が兵庫県には刻まれている。




