「立花氏がすべて一人でやったとは考えにくい」と背景の解明求める声

「デマや誹謗中傷が今後もまだまだ続くと心配していたので、一報を聞いた時はやっとここまで来たと感極まり、これで少しトーンダウンするかもとホッとしました」

 竹内と同じく、立花から「黒幕」と名指しされ、標的とされてきた兵庫県議の丸尾牧は言う。知事選中から折に触れて竹内に連絡し、SNSの情報開示請求を呼びかけたり、辞職せず休養を取るよう勧めたりもした。だが、「私はもういいです」「怖いんです」と力ない答えが返ってくるばかりだったという。

「逮捕は大きな転換点。ただ、立花氏がすべて一人でやったとは考えにくい。周りにどういう人たちがいて、どんな情報を流し、何を意図したのか。構造や背景を明らかにしてほしい。そうすることで組織的な動きに歯止めがかけられる。立花氏だけが罪に問われても、また別の人が現れたら同じことが起こってしまう」

誹謗中傷被害を語る丸尾牧県議

 竹内や丸尾を黒幕とするメモを立花に渡したのは民間人で、その場には県議の岸口実が立ち会っていたこと、また、百条委員会の秘密会の録音データなどを県議の増山誠が立花に渡していたことは既に明らかになっている。岸口、増山ともに当時所属した日本維新の会から処分を受けて離党。現在は県議会に新会派「躍動の会」を立ち上げている。

 だが、今回の逮捕事案である「竹内が取り調べを受けていた」などのデマを誰がもたらしたのかは、まだわかっていない。立花は、ジャーナリストなど情報源が複数いることを示唆している。

 丸尾自身も、立花を相手に民事訴訟を起こしている。知事選の街頭演説で「告発文書を丸尾も書いた」「知事のパワハラについてデマを庁内に流している」と虚偽の事実を語られ、名誉を傷つけられたとして、1100万円の損害賠償を求める内容だ。立花側からは請求棄却を求める短い答弁書が提出されたが、既に結審し、来年1月に判決が出る。

 また丸尾はこれまで、XやGoogleなどのプラットフォーム事業者に対し、計107件の投稿について開示・削除請求を行っている。Xに関してはこれまでに10件が裁判所で開示決定され、7件が削除、3件が認容(削除を認める)となったが、いまだにX側からはまったく情報開示されていない。

「今の仕組みでは、どう考えても『やった者勝ち』。デマ動画等の作成者は既に大きな収益を得ている。誹謗中傷で亡くなる人をこれ以上出さないよう、政府や自治体が人権機関を作り、SNS事業者に速やかに削除を求める仕組みを設けるべきでは」