立花を相手とする裁判を数々担当してきたもう一人の代理人弁護士、石森雄一郎は、逮捕の意義をこう語った。

「立花孝志は、政治活動の自由を振りかざして他者の人権を侵害し続けてきた。こういう人間が摘発されないまま、NHK党が一度は国政政党になり、選挙の中で虚偽の言説をばらまいたり、人権侵害を行ったりする『立花孝志的』な政治家が増えている。今回、彼の発言が正面から摘発されたことで、模倣する政治家に対しても大きな牽制になる」

記者会見する竹内元県議の妻(右)と石森弁護士=8月8日、神戸市内

 両弁護士とも、刑事裁判の鉄則である推定無罪を前提としながらも、逮捕に踏み切った兵庫県警や神戸地検の対応を高く評価している。

 会見の最後は竹内の妻が辛苦の1年を振り返り、こう締めくくった。

「夫の死後も被害は続き、しばらく何もできないままに過ごしておりました。いろんな方の助けをいただいて、ようやく声を上げることができましたが、それは簡単なことではないので……。これをきっかけに、いろんなことが明らかになって、これ以上、犠牲が生まれてほしくないと思います」

「このままでいいのか、仇を取ろう」、背中を押した元衆院議員

 会見の中で郷原は、今回の逮捕を「たすきがつながった」と表現した。さまざまな人の執念というべき思いがつながり、県警や地検を動かしたという意味だ。

 まず竹内の妻に郷原を引き合わせたのは、元衆院議員の石川知裕だった。早稲田大学時代から竹内と親しかった先輩の石川は今年4月中旬、癌で闘病中の身を押して弔問に訪れ、「英明のこと、このままでいいのか。仇を取ろう」と、この件に関心を持っていた郷原の連絡先を伝えた。