もう一つは竹内の自殺が報じられた今年1月19日、「竹内元県議は兵庫県警から継続的な任意の取り調べを受けていた」とXに投稿し、さらにYouTubeでは「どうも明日逮捕される予定だったそうです」と発言。翌20日に県警本部長が全面否定すると、いちおう「謝罪」を口にしたものの、その後も複数回にわたり、根拠なき誹謗中傷を繰り返した。
「竹内県議はかなりでっち上げをしていた。(告発文書を作成した)県民局長の妻のメールを偽造したのではないか。十分証拠がある」「そもそも政治家が中傷されたぐらいで死ぬな、ボケ」「なんで故人を冒涜したらあかんの? 死んだら真相追及したらあかんの?」
「これが処罰できなければ、死者の名誉毀損を処罰できなくなる」
同じ名誉毀損罪でも、「生前」と「死後」では立証の難しさが異なる。相手が生きている場合は、発言内容が真実か虚偽かは問われず、真実と信じるに足る理由(真実相当性)があったかどうかが問われる。一方、死者に対しては「虚偽の事実を摘示した」ことが要件になる。つまり、嘘と分かっていながら意図的に悪意を持ってやったと立証しなければならないため、ハードルが高くなる。
竹内の妻の代理人弁護士である郷原信郎は会見で、「死者の名誉毀損」が処罰された例は過去になく、学説や法解釈も分かれていると説明。それにもかかわらず、今回の逮捕事実に加えられたことに大きな意味があると繰り返し強調した。
「今回のケースは(歴史上の人物等ではなく)まさに亡くなられた直後に死者の尊厳を著しく害する行為ですから、これが処罰できなければ、もう死者の名誉毀損を処罰する余地なんかなくなってしまう。そこをしっかり考えてもらえたんじゃないか」