MAGAの未来を黙示するテイラー・グリーン

 その実例が、かつてはMAGA運動の代表的な支持者・旗手の一人だったマージョリー・テイラー・グリーン下院議員(ジョージア州選出=51)の「反乱」だという見方もある。

 同氏は最近、党指導部・運動の方針や実践に対して不満を公言、マイク・ジョンソン下院議長が議員に対する保護命令(restraining order)や倫理規律の問題に十分取り組んでおらず、「偽善者だ」と非難している。

 また、同氏自身は「America First(米国第一主義)を掲げる立場だが、現在の共和党は『America Last(米国が後回し)』になっている」と批判している。

MTG slams parts of Trump's second-term agenda as "America Last" 

 グリーン氏は、外交政策ではウクライナ、イスラエル情勢や対外援助に関して、従来の共和党・トランプ系が比較的支持してきた「介入・支援」路線に異を唱えている。

 伝統的MAGA・強硬保守派が掲げてきた「強い軍事・外交路線」に対しても距離を置く姿勢を見せ、MAGA内で波紋を呼んでいる。

Marjorie Taylor Greene Accused of Betraying Trump by Top MAGA Influencer

 内政では、共和党が長らく反対してきた 「オバマケア」(税額控除・保険料補助)に関して、「自分の子供の保険料が上がる」といった私的事情を挙げて、共和党がこれに代わる明確な対策を持っていないと批判している。

 また、「私は共和党を離れない/独立するつもりはない」と言いつつも、「共和党(あるいはMAGA運動)が自分の票を得た基盤(ベース)を見失っている」とも発言している。

 つまり、グリーン氏は、共和党内でMAGA内紛を「黙示する存在」になっているといえる。

 2つの州知事選、ニューヨーク市長選、カリフォルニア州の住民投票・・・と、民主党勝利に終わった政治劇。

 今後、政治専門家たちが詳細なデータを精査するだろう。

 それは、2026年中間選挙、2028年の大統領選を占う貴重な材料になるだけでなく、MAGAの未来を予言するクリスタル・ゲージング(Crystal gazing=占術の水晶玉)にもなりそうだ。