原動力だったMAGA、機能せず

 ワシントンの政界通J氏は、筆者にこう語っている。

●共和党の敗因には複数の要因が重なっているが、特に注目されるのはMAGA内部に生まれている亀裂・分裂だ。それがいかに深刻であるかが選挙結果に出た。

 1年前の大統領選でトランプ氏の勝利の原動力だったMAGAが今回は機能しなかった。

●有権者は、物価高、住宅・家賃の上昇、インフレといった日常の生活の課題を重要視しており、民主党候補はこの点を強調した。

 例えば、ニューヨーク市長選で民主党公認候補となり、当選したウガンダ生まれ(幼年時に南アフリカ経由で米国に移住)のインド系民主社会主義者、ゾーラン・マムダニ氏(Zohran Mamdani、34)*2は、家賃凍結、無料バスなど、生活コストを減らす政策を掲げ、若年層・低・中所得層の支持を得た。

●マムダニ氏は、従来の民主党内の「中道・既存勢力」対「若い進歩派(プログレッシブ)」という構図の中で、勢いを増した若者進歩派の波に乗って勝利を掴んだ。

 中道・既存勢力が推したアンドリュー・クオモ元ニューヨーク州知事(67)は予備選で敗れ、本選挙には無所属で出馬したが敗れた。終盤戦ではトランプ氏が支持表明したが、これがかえって裏目に出てしまったとの見方もある。

*2Zohran Mamdani - Wikipedia