日本企業はかつてITの先進企業だった

 NEC、富士通、日立製作所といった企業は、ハードウエアや通信技術で世界をリードしていました。

 当時、「Java」プログラマーとして現場に立ってい筆者自身も、日本の技術者のレベルは非常に高かったと感じています。

 しかし2000年代に入り、インターネットやオープンソースの波が押し寄せる中で、日本企業は既存のビジネスモデルを守ることを優先しました。

 クラウドやAIへの投資を「時期尚早」と判断し、慎重に構えているうちに、世界のトレンドが大きく進んでしまったのです。

 特に深刻なのは中小企業です。

 日本の企業の99%は中小企業であり、その多くが資金的にも人材的にもIT投資に踏み切れません。

 社内にIT人材がいないため、システム導入を外注するしかなく、その費用がさらにハードルを高めます。

 ある地方の製造業者は、「AIを入れたいが、何から始めていいか分からない」と嘆いていました。

 結局、担当者が自分でエクセルにマクロを組んで「なんちゃって自動化」を実現しているのが現実です。

 このような状態では、AIの恩恵を受ける以前の段階で止まってしまいます。世界中でAI投資が活発化しているなか、これでは10年後に企業が生き残れる可能性が確率がかなり低くなってしまいます。

 AI投資を進めるためには、まず現場のデータ化が不可欠です。