親のフラストレーションはどうなる?
──本書では、小言を言われて苦しむ子どもに寄り添う姿勢について書かれていますが、一方で、小言を言わないことによる親のフラストレーションはどのように解消したらいいでしょうか?

田中:言わずにおれない気持ちの一定部分は子別れの寂しさです。子どもを正しいほうへ導くためにかまうこと、それが親の存在意義だと思っているのです。だから、口うるさく注意することをやめたら、親としての自分の役割がなくなってしまう。それを寂しく感じる人もいます。
そうではなくて、あなた自身がやりたいことをできる範囲でやればいい。親が、楽しそうに生きている姿を子どもに見せることも大切な教育です。
田中 茂樹(たなか・しげき)
医師・臨床心理士
1965年東京都生まれ。4歳から高校卒業まで徳島県で育つ。京都大学医学部卒業。京都大学大学院文学研究科博士後期課程(心理学専攻)修了。文学博士。2010年3月まで仁愛大学人間学部心理学科教授、同大学附属心理臨床センター主任。2012年3月から、奈良市内にある佐保川診療所において、医師・臨床心理士として地域医療、カウンセリングに従事している。著書に『子どもを信じること』(さいはて社)、『子どもが幸せになることば』(ダイヤモンド社)、『去られるためにそこにいる』(日本評論社)、『子どもの不登校に向きあうとき、おとなが大切にしたいこと』(びーんずネット)などがある。
長野光(ながの・ひかる)
ビデオジャーナリスト
高校卒業後に渡米、米ラトガーズ大学卒業(専攻は美術)。芸術家のアシスタント、テレビ番組制作会社、日経BPニューヨーク支局記者、市場調査会社などを経て独立。JBpressの動画シリーズ「Straight Talk」リポーター。YouTubeチャンネル「著者が語る」を運営し、本の著者にインタビューしている。
