「デブ菌」は日本人が強く生きてきた証
「善玉菌・悪玉菌・日和見菌」以外にも、世間一般的にまだ知識がアップデートされていなかったり、誤ったイメージを持たれていたりする菌があります。その最たる例が、「デブ菌」と「ヤセ菌」です。
その名の通り、さまざまな腸内細菌の中でも、人を太らせる方向に働くグループをデブ菌、痩せさせる方向に働くグループをヤセ菌と、一般的に呼んでいます。
これ自体は間違いではないのですが、私としてはどうしても、「ちょっと乱暴な表現なのでは?」と思っています。
というのも、その呼び名から「デブ菌=人間を太らせる悪い菌」という印象が、世間一般に浸透してしまっているからです。
実際のところデブ菌は、エネルギーを効率的に吸収する「フィルミクテス門」というグループの菌で、決して悪い存在ではありません。むしろ「栄養をしっかり吸収するのに必要な菌」とも言えます。
日本人は、世界的に見てもデブ菌の保有量が多い傾向にあるのですが、これはかつて飢餓に苦しんだ経験から、「生き抜くため」に発達したものと考えられています。
デブ菌なくして、現代の私たちはいないということです。
実際、このグループの菌が見えることを指摘するとショックを受ける人が多い一方で、そうした人ほどしっかりとした食事ができていて、実は健康的であるというケースも珍しくありません。
繰り返しになりますが、デブ菌は悪い菌ではありませんし、少ないほどいいというわけでもないのです。