「悪い菌」が少なすぎると風邪をひきやすい?
悪い菌の割合は2%前後だと説明されると、「そんなに少ないのなら、ゼロでも同じでは?」と感じる方もいるかもしれませんね。
ただ、「悪い菌がまったくいない」というのも、マズいのです。
前述したように、腸の中が乳酸菌やビフィズス菌のような「良い子」ばかりだったら、悪い菌が入ってきたときの抵抗力が弱すぎて、人は簡単に体調を崩してしまいます。そうした菌がわずかでもいることで、“用心棒”の役割を果たしてくれているのです。
実際に、最初の腸内解析で悪玉菌(と一般的にいわれる菌)の割合が0.5%と著しく低かった女性は、風邪を引きやすいことに悩んでいました。
詳しく話を聞くと、彼女は普段から手洗い・マスクを徹底し、除菌シートを持ち歩いているとのことでした。
もしかすると、それによって悪い菌が少なくなりすぎたことが、マイナスに働いていたのかもしれません。
ですから、悪い菌を必要以上に恐れないほうがいいのです。
悪さをしない大腸菌、腸の中にいてはいけない乳酸菌
お腹の中にいる悪い菌と言えば、多くの人が「大腸菌」を思い浮かべるのではないでしょうか。
しかし、大腸菌にも種類があり、食中毒を起こすような「病原性大腸菌」は1〜2割程度。残りの8~9割は、悪さをしない「非病原性大腸菌」と呼ばれるものです。
非病原性大腸菌の中には、私たちの腸内でビフィズス菌がビタミンを作り出す後押しをするなど、むしろ歓迎すべき働きをする菌さえいます。
一方で、良い菌もいろいろな顔を持っています。
たとえば、良い菌の代表格の一つといわれる乳酸菌は、現在見つかっているものが400〜500種類程度ありますが、日本人の腸内に見えているのは、そのうち30~40種類ほどにすぎません。
しかも、そこには口腔内細菌も含まれます。腸の中に口腔内細菌が見つかるのは、決して良いことではありません。しかし、大雑把な検査では、それも単純に乳酸菌としてカウントされます。
とある会社が消費者へのサービスの一環で行なっている検査では、乳酸菌が多ければポジティブなマークが付いた「良い結果」が返ってきます。しかし、そこに口腔内細菌が含まれているならば、喜んではいられません。
要するに、大事なのは表面的な「良い菌・悪い菌」という振り分けではなく、その内容だということです。