高まる若者の不満、政情不安のリスク

 インドの隣国バングラデシュでは昨年7月、公務員採用の優遇措置に反発する学生デモが長期政権打倒運動に変容し、翌8月にハシナ首相が辞任に追い込まれる政変が起きた。 ネパールでも先月、10~20代の若者が主導し、わずか2日間でオリ前政権を引きずり下ろしたように、インドの周辺国でZ世代の反乱が相次いでいる。

 長期政権の下で失業難にあえぐ若年層の不満がSNS上で広がり、短期間に大勢の参加者が反政府運動に参加したことが共通点だ。  

「インドでも政変が起きる」と主張するつもりはない。だが、トランプ政権との関係に悩むインドの今後の動向について、最大の関心を持って注視すべきだ。 

藤 和彦(ふじ・かずひこ)経済産業研究所コンサルティング・フェロー
1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。