さらなる分断加速につながりかねない提言も

 トランプ大統領に対する有権者の支持率は40%前後で安定している。大きく上向く気配は今のところあまりないが、物価高を招く関税政策や軍を大都市に無理やり派遣する治安政策などに対し批判的な報道が多い割には、支持率が底割れする予兆もない。

 一時は、ガザ問題への積極介入姿勢が岩盤支持層であるMAGA派内の分裂を招いているとの報道もあったが、トランプ氏主導で停戦合意を達成したことから、支持層の分裂危機も収まった。

 目下の最大の懸案はおそらく、来年の中間選挙の結果、共和党が引き続き議会を支配できるかだが、下院選挙区の区割りの見直しや都市部の無党派層への治安対策強化アピールなど着々と手を打っており、手応えを感じているのかもしれない。それが今回のプロジェクト2025との関係開示へとつながった可能性がある。

 プロジェクト2025トラッカーによれば、現在、トランプ政権が実現に向けて動いている提言の中には、「低所得家庭の児童のための学校への資金援助を段階的に廃止する」「学校の教師や図書館員が未成年者とジェンダーについて話し合ったら性犯罪者とみなす」「企業に対し残業代の不払いを認める」「連邦準備制度(FRB)を廃止し『自由銀行』制度に移行する」など、米社会の分断を一段と加速させかねないものが多く含まれている。

 トランプ劇場からますます目が離せない。