前田和摩のポテンシャルと可能性
昨年の日本選手権10000mで3位に入っている前田は“学生長距離界のエース“と呼べる逸材だ。今回は小さな故障が続き、ポイント練習を回避することが多かったという。
「昨年のように長く休むようなことはなかったんですけど、何度かやりたい練習ができませんでした。ただ、全日本選考会よりジョグの出来は圧倒的に良かったので、ハーフにつながったかなと思います」(前田)
なお小指監督は、「前田はハッキリ言って良くなかったです。脚を痛めていたので1週間ぐらい練習をやっていなかった。どれぐらいで走れるかなと思ったんですけど、天才ですね。本人に今日は何%ぐらいか聞いたら、『30%ぐらい』と言っていたので、さすがだなと思いました。ポテンシャルが違いますよ」と話していた。
1年時の箱根駅伝は故障の影響で7区(区間13位)にまわった前田だが、今回はエースとしての役割を果たすつもりだ。
「箱根駅伝は他のレースとまったく違います。観衆が多くて、走るのが楽しいなと思えるので、その舞台をもっと楽しめるように今度は100%の状態で迎えたい。走りたい区間は2区ですね。留学生にも果敢に勝負していきたい。自分は上りも得意な方なので、権太坂、戸塚の坂をスイスイ上っていけたらなと思います。日本人最高記録は簡単に超えられる壁ではありませんが、記録は超えるためにあると思うので、そこは頭のなかに置いて練習を積んでいきたいです」
今年の箱根駅伝は2区で東京国際大のリチャード・エティーリ(現3年)が1時間5分31秒の区間新記録、創価大・吉田響(現・サンベルクス)が1時間5分43秒の日本人最高記録を打ち立てている。前田はどれぐらいのタイムで走破するのか。小指監督は、「2区だったら区間新ですね。本来の力を発揮できれば、それぐらいは十分いけると思います」と絶対エースのポテンシャルを口にした。
前田が注目を集めるチームだが、東農大は5人が41位以内でフィニッシュしており、主力選手は充実している。3年生エースが花の2区を爆走すれば、16年ぶりとなるシード権獲得が見えてくるかもしれない。
