2025年10月18日、第102回箱根駅伝予選会で力走する東農大の前田和摩(中央) 写真/スポニチ/アフロ
(スポーツライター:酒井 政人)
10年ぶりの歓喜と1秒差の涙
前々回は“1年生エース“が日本人トップを飾り、10年ぶり70回目の出場を決めた東農大。前回は前田和摩が欠場するも、チームは大健闘した。しかし、誤差の範囲ともいえる「1秒差」で落選して、選手たちは泣き崩れた。
陸上部のホームページトップには前回結果の写真とともに「この1秒を忘れるな!」の文字を掲載。今季は「松葉緑の革命」をスローガンに箱根駅伝予選会のリベンジに向けて、チームは取り組んできた。
10000mで27分21秒52の日本人学生最高記録を持つ3年生エースは体調不良で出遅れ、東京世界陸上の代表を逃した。それでも5月の全日本大学駅伝関東学連推薦校選考会でレース復帰。前田の復調とともにチームは夏から秋にかけて自信を深めていく。
「夏合宿は結構いい練習ができたので、『いけるんじゃないか』という感触がありました。レースが近づいてきて、結構高い確率で突破できると感じていましたね。今までよりまとまって練習ができていましたから」(小指徹監督)
そしてエース前田も「練習をまとまってやることに力を入れていて、きつそうな選手がいたら声をかけあってきました。予選会を想定して、全員でやろうという意識があったと思います。夏合宿の途中くらいから、チームのレベルが高くなってきて、ワクワクしました」とチームの変化を感じていた。