いすゞ自動車の藤沢工場を取材した。写真はいすゞの最新トラック各種(写真:筆者撮影)
トラック・バスの大手、いすゞ自動車(以下、いすゞ)の神奈川県藤沢工場でトラック製造の最前線を取材した。あわせて、いすゞが目指す企業としての未来像について、同社役員らから詳しい話を聞いた。
(桃田 健史:自動車ジャーナリスト)
世界30カ国に42の生産拠点を持ついすゞ
いすゞは7月末、藤沢工場で日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)向けに事業説明会を開いた。
バスやトラックを製造するいすゞについて、一般消費者は事業の内容をあまりよく知らないのではないだろうか。
いすゞは、世界30カ国に42もの生産拠点を持ち、売上高は3兆2000億円。事業の構成は、全体の約50%をCV(コマーシャル・ビークル)が占める。この中には、小型トラック「エルフ」「エルフ ミオ」、中型トラック「フォワード」、大型トラック「ギガ」、そして大型バス「エルガ」などが含まれる。
次いで、LCV(ライト・コマーシャル・ビークル)が全体の約23%で、モデルとしてはピックアップトラック「D-MAX」やSUV「MU-X」を扱っており、東南アジアなどで需要が多い。
そのほか、産業用や船舶用のエンジンも手がけている。
さまざまな“働くクルマ”を製造するいすゞ
では、国内のトラック市場について見てみよう。
市場規模は、日本市場全体で商用車が400万4000台(2025年3月末時点)。これは、乗用車(6205万6000台)の約15分の1だ。
商用車のうち、トラックは271万8000台、特装車が128万5000台である。特装車とは、消防車やゴミなどを収集する塵芥車、道路作業車など、いわゆる“働くクルマ”を指す。トラックを含めて、車両後部の荷室などが特装物にあたる。
その上で、いすゞなどトラックメーカーが製造しているのは、運転席などがあるスペースである“キャブ”と車体・動力系などのトラックのベースとなる部分。これを、キャブ付シャシと呼ぶ。
こうしたトラックや架装車の商品特性から、いすゞは様々な仕様のキャブ付シャシを製造する必要がある。その数は、いすゞのマザー工場である藤沢工場だけでも約2500種類にも及ぶというから驚く。