日常生活とは違った環境を味わう絶好の機会(写真:Hakase/イメージマート)
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「やる気がない」「すぐにあきらめてしまう」「計画性もない」。便利な時代に育つ子どもに悩む親にこそ知ってほしいのが、自然体験キャンプの力だ。これから始まる夏休みに、子どもに何をさせればよいのか。「テクノロジー×教育」の第一人者であるリクルートの小宮山利恵子氏が、アウトドア体験でこそ身に付く力について解説する。

(*)本稿は『好奇心でゼロからイチを生み出す「なぜ? どうして?」の伸ばし方』(小宮山利恵子著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を抜粋・再編集したものです。

(小宮山 利恵子:リクルート スタディサプリ教育AI研究所所長)

五感を使った学びの宝庫「キャンプ」

 成長期におけるキャンプ体験には教育的効果があります。これは、子どもとキャンプに行ったことがある方なら実感しているのではないでしょうか。実際、数多くの研究でも明らかになっています。

 たとえば、至学館大学健康科学部の福富優氏の研究チームは、幼児期のキャンプ体験が、子どもの意欲向上や自立心の育成に効果的であるとの調査結果を明らかにしています。

 大阪体育大学スポーツ科学部の伊原久美子教授の研究チームの調査では、5歳から8歳の幼児・低学年児童を対象に実施した調査で、継続的な組織キャンプ参加が攻撃性の低減や協調性の向上、自然への関心を高める効果があることがわかっています。

 キャンプは五感を使ったアナログの学びの宝庫です。やる気、協調性、粘り強さ、計画性、創造性、想像力、コミュニケーション能力といった数値化できない非認知能力を育むために、今後は教育現場でもキャンプが導入されていくだろうと私は考えています。