単身者への支援が十分ではない日本の将来

辻元:これからはシングル(単身者)の人々が政治課題になると思います。2050年には、約44.3%が単独世帯になるという国立社会保障・人口問題研究所の推計が出ています。

『ひとりでしにたい』(NHK)というテレビドラマが始まりましたが、真剣に見ています。女性のほうが平均寿命は長いので、パートナーがいる人でも、いつか1人になる可能性が高い。

 結婚をする間もなく働き続けてきた人もいれば、経済的な理由からなかなか結婚できない人も増えています。今パートナーがいる人も含め、シングルの問題は、すべての人の問題です。だから、1人になったとしても、自分らしく生きていけるような政策を作っておくことが大事だと思うのです。

 税制を見ても、扶養控除など家族単位の補助ばかりです。子育て世帯への支援は盛んに議論されますが、単身の方への支援は十分ではありません。

 先日、栃木市で50代のシングルの女性から話しかけられました。ずっと派遣社員として働いてきたけれど、親の介護も現実味を増し、老後のことも心配になっている。年金も少なくなっていくだろうし、どうすればいいのか。そんな切実な相談でした。この国にはそういう女性が数多くいるのです。

 経済的には、やはり家賃が問題になります。東京などでは、稼いでも、かなり家賃に消えてしまいます。かつては公営住宅という発想でしたが、今、公営住宅の数は減っています。何か公的な住宅の支援が必要だと思います。

 港区にキャリアも所得も高いシングルの女性がおられるのですが、彼女はお金には困っていないけれど、「寂しいの」「自分でほとんど料理もできなくて」と嘆いておられ、「私もよー!」なんて言いながら手を取り合いました。

 最近そういう人たちが、同じマンションに住むなどして町内会のような共同体を作り始めています。ですから、シェアハウスやコミュニティになる共同住宅の運営などがやりやすい制度を作ることも、シングル支援の1つの方法かもしれません。