イランの小麦自給率は100%になる年もあるが、60%程度まで下がる年もある。生産量が減少した年は輸入によって補っている。小麦はイランだけでなく米国やオーストラリアでも生産が安定しない。豊凶の差が著しい。

 イスラエルの小麦自給率は60%から80%の間を変動している。イスラエルも凶作だった年には、より多くの小麦を輸入している。

 国土と人口の関係について見てみよう。イランは1haの農地で5.7人を扶養している。イスラエルは22.4人。ちなみに日本は30.7人である。イランの国土面積は日本の4.4倍もあり、人口が約9000万人と日本より少ないことから、努力すれば食料自給が可能である。

 一方イスラエルは日本の四国とほぼ同じ面積に約900万人が住んでおり、食料の自給は難しい。ちなみに四国の人口は369万人。イスラエルは人口密度の高い国である。

 食料自給を考える上で、イランはイスラエルより圧倒的に有利な状況にある。それにもかかわらず小麦を完全自給していない。不作の年は輸入している。

 世界で小麦を最も多く輸出している国はロシアで年間3100万トン、それにオーストラリアの2900万トン、カナダの2500万トン、米国の1700万トン、ウクライナの1600万トン、フランスの1300万トンが続く(FAO:2023)。小麦の輸出国は主に先進国である。