テスラ参入で競争激化 技術・コスト戦略に違い
ウェイモが先行するロボタクシー市場だが、競争は激化の様相を呈している。
イーロン・マスク氏率いるテスラは、長年予告してきたロボタクシーサービスをまもなく始める見通しで、数週間後にもオースティンでウェイモとテスラの無人タクシーが街中で並走する光景が見られるかもしれない。
両社の自動運転へのアプローチは大きく異なる。
ウェイモが高精度の地図データやLiDAR(レーザーレーダー)などのセンサー群、AIを組み合わせるのに対し、テスラはカメラ映像とAIを中心としたシステムを構築している。
ウェイモのシステムは高コストが課題だ。
持ち株会社である米アルファベットの「その他の賭け(Other Bets)」部門に含まれるウェイモは、2024年に44億ドル(約6300億円)の損失を計上した。
マスク氏はこの点を「ウェイモのクルマは『ウェイ・モー・マネー(もっとずっと金がかかる)』」と揶揄する。
これに対しマワカナ氏は、「私たちにとって重要なのは安全性、次にコスト。コストが先で安全性が後ではない」と反論し、「多くのやり方があるだろうが、実際に(広範な無人タクシーサービスを)成し遂げたのは私たちだけだ」と強調した。
安全性、収益性、そして社会への浸透
ウェイモはこれまでに5000万マイル(約8000万キロメートル)以上の無人走行実績を積み重ね、安全性をアピールするが、一度の重大事故が普及の勢いを削ぐリスクは常に存在する。
また、巨額の先行投資に対する収益性の確保も大きな課題だ。
利用者の期待は高く、サンフランシスコでは空港への送迎など、高速道路でのサービス提供が待ち望まれている。フェニックスでは既に空港乗り入れサービスが実現している。
ウェイモをはじめとする自動運転タクシーが都市の風景や人々の移動手段をどう変えていくのか。その未来は、各都市の路上で今まさに現実のものとなりつつある。データを見るまでもなく、窓の外にその兆しが現れている。
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