ドローン配送が当たり前の時代に一歩近づいた(写真とアマゾン・ドット・コムは関係がありません。Jean P MouffeによるPixabayからの画像)
米アマゾン・ドット・コムはこのほど、同社のドローン配送サービス「Prime Air(プライムエアー)」において、米連邦航空局(FAA)からスマートフォンなどのリチウムイオン2次電池(LIB)を搭載した製品の配送承認を新たに取得し、対象商品を大幅に拡大したと発表した。
サービス対象地域では注文から60分以内にこれらの製品を受け取ることが可能になる。
同社は新型ドローン「MK30」の活用と配送プロセスの簡略化を進めており、将来的には全米へのサービス展開と年間5億個の荷物配送を目指す。
新たなマイルストーン:iPhoneなど人気商品も空から
アマゾンのドローン配送は、これまで商品種などに制限があったが、今回のFAAによる承認は大きな前進となる。
新たに配送対象となったのは、米アップルのスマホ「iPhone」やワイヤレスイヤホン「AirPods」、韓国サムスン電子のスマホ「Galaxy」といったリチウムイオン2次電池を搭載する電子機器や、スマートホーム製品のドアチャイム「Ring Doorbell」など、これまで空輸が難しかった製品だ。
これにより、Prime Airで配送可能な商品は6万点以上に拡充された。
現時点での対象地域は、米南西部アリゾナ州フェニックス都市圏ウエストバレー地区と、米南部テキサス州カレッジステーションである。
顧客はAmazon.comまたはアマゾンショッピングアプリで対象商品(重さ5ポンド=約2.3キログラム以下)を注文する際、ドローン配送を選択できる。
注文から商品到着までの時間は60分以内と、急な需要にも応えられる迅速性を実現している。
利便性向上へ、配送プロセスを大幅刷新
アマゾンは顧客体験の向上を目指し、ドローン配送のプロセスも大幅に簡略化した。
従来、一部地域では顧客が屋外にQRコードを設置する必要があったが、この手間を撤廃。
初めてドローン配送を利用する顧客は、自宅の航空写真上で、あらかじめ設定された配送可能な場所(庭や車道など)を選択するだけでよい。
2回目以降はこの指定が自動的に適用され、必要に応じて変更も可能だ。
背景には、2年をかけて開発されたデジタルマップと、ドローンの機体に搭載されたコンピューターシステムがある。
ドローンは、このマップ情報を基に配送先までの正確な飛行時間と荷物の投下時間を算出し、顧客に5分単位での配達予定時刻を通知する。
万が一、配送が完了できない場合も、その理由と共に顧客へ通知される仕組みだ。
ドローンは配達時、上空約4メートルまで降下して荷物を投下する。その際、配達エリアに人やペット、障害物がないかを物体認識システムで確認し、安全を確保する。
システムは、衛星画像に写らない障害物や、飛行中に接近する物体も検知し、自動で衝突を回避する。