最終結論は国民3割支持の最高裁判断
再び前述の世論調査を持ち出して恐縮だが、米国民が最高裁に抱いている信頼度は30%。5年前(40%)に比べ急落している。
というのもトランプ第1期政権の際に空席になった最高裁判事ポストに次々と保守派を送り込み、今や保守対リベラルの均衡が崩れ、保守派支配の最高裁になってしまったからだ。
米国では対立するイシューを最終判断するのは最高裁。
これまでにも公民権問題や妊娠人工中絶禁止、LGBTQ(性的少数者)の権利を認め同性婚合法化で米国が大きなカーブを切ったのは最高裁判決だった。
今回の不法移民取り締まりをめぐる軍隊出動論争に最終決着をつけるのは最高裁となるだろう。
が、その前に地裁、高裁での判決が二転三転している背景には、保守派判事とリベラル派判事の激しい確執があることがうかがえる。
地裁のブレイヤー判事は、ビル・クリントン第42代大統領が指名したリベラル派。実兄は最高裁判事を務めたスティーブン・ブレイヤー氏だ。
一方、高裁のマーク・ベネット、エリック・ミラー両判事はトランプ氏が指名した保守派判事。ともに保守派法曹グループ「フェデラリスト・ソサエティ」(The Federalist Society)のメンバーだ。
最後の一人、ジェニファー・サン判事はジョー・バイデン第46代大統領が指名した中国系女性判事。
6月17日のヒヤリングを経て、高裁の判断は多数決で決まる。
トランプ氏に指名された保守派判事がトランプ氏の肩を持てば、トランプ氏の州兵・海兵隊出動は「違法ではない」という判断が下されるかもしれない。
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