アクションにつなげる工夫

 単なる情報提供に終わらせず、個人に行動を促すためには、どんな手立てが有効なのか。

「感じていた孤独を解消するためのツールとして始めた、っていう感じです」

 ぴょん(アーティスト名)さんは2024年12月、エコな暮らしを考えるポッドキャスト『環境活動ラジオ(仮)』の運営を始めた。「温暖化防止のために」というより、自分が環境配慮型の生活を続けていくために必要だったという。

ポッドキャストで等身大の自分のエコ生活を発信するぴょんさん(写真左)(画像:ぴょんさんのインスタグラム投稿より)

 出産子育てを契機に、環境問題に関心を高めたぴょんさん。エコな生活を心がけようと、自身の生活全般を見直した。使う商品をより環境負荷のないものにする、といった気軽なことから手を付けた。ただ、同じような関心を持つ人は、周りにほとんどいない。参加したい勉強会やイベントがあっても、育児があって難しい。そこにストレスを抱えていた。

 他方で、「子どもたちの未来のために、社会を良くしていきたい」と考える子育て世代が少なくないことを知った。そんな人たちと、コミュニティが作れたら。同じような立場の自分から環境問題を発信して、関心を持ってもらえたら。そんな考えが膨らんだ。

 ポッドキャストを選んだのは、自身が情報収集に使っていたからだ。手がふさがっていても大丈夫。無料で、時間や場所も選ばずにアクセスできる。情報を発信する際にも、動画より負担は少なくて済む。

 リスナーには「環境に関心がない人」を想定し、チャンネルの紹介文では「初心者目線で」と断りを入れつつ、「参加して楽しい環境活動で、あなたの視点を変えられれば」と記した。

「環境問題はよくわからないけれど、年々、暑さがひどくなっているなとか、子どもが大人になる頃に日本や地球は大丈夫かとか……。そう不安に思ってらっしゃる方に届けたいと。環境活動って、結構硬い感じがするから、なるべくハードルを下げようと思っています」

『環境活動ラジオ(仮)』では、ぴょんさんの語りの途中で、しばしば子どもがやって来て、ママに何か言って去っていく。ぴょんさんはそれを敢えて残し、普段着の家庭の様子をそのまま届けている。開始から半年で番組は16本。仲間も少しずつ増え、親子で山登りをしながら環境問題を考えるイベントも手掛けた。