リーダーシップを「内側」から磨くには?

 自分の中のリーダーを育てることは、他者に影響を与えるリーダーになる第一歩だ。

 一流のリーダーは、まず自分自身をしっかりとリードする。そして、その姿勢が周囲にも波及し、結果的に他者を巻き込む力となる。

 では、どうすれば「自己内リーダーシップ」を育てられるのか? それはこうだ。
  
① 目標を明確にする
自分がどこを目指しているのか、どんな準備が必要なのかを考える。
② 的確な指示を出す
自分の中のフォロワーに向けて、具体的で実行可能な指示を出す癖をつける。
③ 継続的な対話をする
目標や夢を「燃料」としてリーダーに与え、定期的に進状況を見直す。また、リーダーとフォロワーの対話を続けることで、適宜、軌道修正する。

 この習慣が身につくと、驚くべき効果が生まれる。自分の中でリーダーとフォロワーが連携して動き始め、その姿勢が周囲にも伝わるのだ。

「リーダーとフォロワーが互いに補完し合う」モデルを自分で体現することで、チームや周囲の人々にもポジティブな影響を与えることができる。

 リーダーとしての自分を磨きつつ、フォロワーとしての柔軟さも持ち合わせることで、より成熟したリーダー像を目指すことができるだろう。

 リーダーは外に向かうだけのものではない。まずは自分の内側でリーダーを育て、そこから広がる波紋を楽しんでみよう。

 サーバント・リーダーとは、1970年にロバート・グリーンリーフが提唱したリーダーシップ論だ。リーダーはまず人に奉仕し、次にその人を導く──。これがその基本的な考え方だ。
  
 2015年公開の映画『マイ・インターン』をご存じだろうか?

 ファッション通販会社の若きCEOジュールズ(アン・ハサウェイ)のもとに、シニアインターンとして70歳のベン(ロバート・デ・ニーロ)がやってくる。40歳も年の離れた二人の関係は、最初はぎこちなかったが、誠実で温かなベンの姿勢にジュールズは次第に心を開いていく。

 悩みを抱えた彼女を、ベンは出しゃばることなく細やかな気遣いで支え、必要なときに的確なアドバイスを与える。その結果、ジュールズは困難を乗り越えていく。

 ロバート・デ・ニーロ演じるベンの姿は、まさにサーバント・リーダーの理想形。目立とうとはせず、あくまで相手を尊重しながら後押しする──。これこそがいま最も求められているリーダーシップかもしれない。

 実際、グローバル企業でも、この「支えるリーダー」が増えてきている。先頭に立って号令をかける旧来型のリーダー像は少しずつ変わりつつあるのだ。

 日本人の多くが持つ内向的で謙虚な特性は、このサーバント・リーダーシップと相性が良い。外交的でなくても構わない。むしろ、自分の性格を強みに変えるチャンスだ。

 もし自分が内向的だと感じているなら、時代の最先端であるサーバント・リーダーを目指してみてはどうだろう? 『マイ・インターン』のベンのように、周りを支えながら導くリーダーになれる可能性が広がっていく。