肉体を酷使してきた労働者は健康を損なう前に退職できる

「アルネ年金」は就労年数が42年に達した場合は受給年齢の1年前の66歳から、43年の場合は2年前の65歳から、44年の場合は3年前の64歳から受給できる。長期間にわたり肉体を酷使してきた労働者が健康を損なう前に退職できるよう支援するのが狙いだ。

 2022年6月までに5万人以上が申請、約3万7000人が早期退職を認められた。しかしデンマーク人の過半数が公的年金の受給年齢を過ぎても働き続けたいと考え、高齢者の復職が増加。60代の人々は労働時間を徐々に減らしながら数年かけて段階的にリタイアする傾向が目立つ。

 デンマークのほか主要国の公的年金受給年齢は次の通りだ。

主要国の公的年金受給年齢(筆者作成)

 筆者の暮らす英国では66歳から公的年金を受給できる。しかし1961年生まれの筆者は67歳にならないと受給資格がない。どんどんリタイアしていく友人たちが人生を楽しむ様子を見ると恨めしい。インフレ率が3.4%から4.1%に再上昇する中、定年までの一日一日が本当に重い。