ドイツの年金制度は「せいぜい数年しか続かない」
フランスは2023年、受給年齢を62歳から64歳に引き上げる改革を断行したが、抗議活動が吹き荒れた。ドイツのフリードリヒ・メルツ新首相は「連立協定に多くの良い点を盛り込んだ」と自画自賛したが、慢性的に資金不足に陥る年金財源については先送りした。
そのメルツ氏は「ドイツの年金制度は今のままではせいぜい数年しか続かない」という。元政府経済顧問ベルント・ラッフェルヒュッシェン氏は独紙アウクスブルガー・アルゲマイネ(5月20日付)に「ベビーブーマー世代の一部が働き続けるよう退職年齢を速やかに70歳に引き上げるべきだ」と語っている。
2035年まで毎年約100万人のドイツ人が労働市場から退場するため若い世代の負担額が増す。欧州の年金財源は「鉄血宰相」オットー・フォン・ビスマルクが導入したビスマルク・モデルと公的財源で賄う「揺り籠から墓場まで」の英国ベヴァリッジ・モデルに大別できる。
ビスマルク・モデルは労使双方が資金を拠出する。ドイツ国営国際放送「ドイチェ・ヴェレ」(5月28日付)は「ビスマルク・モデルに基づく制度は人口動態の変化によりますます負担がかかる。高齢化と労働力の減少で社会保障制度の財源を担う人材が減少している」という。